下町ロケット ゴースト 感想
TBSドラマ「下町ロケット」の原作となる池井戸潤のシリーズ第3弾「下町ロケット-ゴースト」の夏休みのネタバレ読書感想文です。原作「下町ロケット-ゴースト」のあらすじとネタバレは「「下町ロケット-ゴースト」のテーマの1つに「農業」がある。三井財閥や三菱財閥などの旧財閥が戦後の財閥解体で解体されたことは有名だが、その裏で、農業も戦後の「農地改革」によって解体された。農地改革は、国が地主から農地を強制的に買い取り、小作人に買い取られせるというもので、この農地改革によって多くの豪農(大地主)が消滅する一方で、農地改革によって農地を得た小作人が自作農家へと昇格し、数多くの小さな農家が誕生した。ただ、このときに、小作人は1カ所にまとまった農地を与えられず、複数箇所の小さな農地を与えられたため、大きな機械で効率よく作業できず、日本の農業は非効率のままである。(注釈:農地改革が財閥解体と違うところは、搾取される側の小作人を救済して自作農家へと昇格させる意味合いが強く、元々はGHQの主導ではなく、日本側の主導で農地改革が進められたようだ。)スポンサードリンク帝国重工は子会社の赤字で3000億円の損失を計上し、来期は赤字に転落するため、社長の藤間秀樹は経営悪化の責任を取って辞任することになった。次期社長は、反藤間派の的場俊一で、ロケット打ち上げ事業「スターダスト計画」は、藤間秀樹の肝いり事業で利益になっていないこともあり、的場俊一が社長に就任すれば、スターダスト計画は廃止されるようだ。スターダスト計画に関わってきた財前道生は、準天頂衛星「ヤタガラス」を搭載したヤタガラス7号機の打ち上げを最後に、スターダスト計画から離れ、宇宙航空企画推進グループへと移ることになった。そこで、財前道生は準天頂衛星「ヤタガラス」の価値を布教することにより、ロケット打ち上げ事業の必要性を訴え、ロケット打ち上げ事業を側面から支えることにした。そこで、財前道生が着目したのだが「農業」だった。衛星と農業がどのようにつながるのか。「下町ロケット-ゴースト」では描かれていないのだが、私は2015年のTBSドラマ「ナポレオンの村」を思い出した。ドラマ「ナポレオンの村」では描かれなかったと思うが、原作本「ローマ法王に米を食べさせた男」には衛星を使った米作りのエピソードが登場した。では、農業に衛星をとのように活用するかというと、原作本「ローマ法王に米を食べさせた男」で紹介されていた方法は、衛星で農地の写真を撮影し、解析ソフトを使って農地を解析するという方法だった。衛星写真を解析ソフトで解析すると、肥料の散布ムラなどが分かるため、衛星を活用することで、農作物の品質向上や効率の良い生産が出来るようになるのだという。もちろん、衛星写真の撮影や解析には費用が発生するが、近所の農家が複数で集まって1度に申し込めば、1人あたりの負担費用は軽くてすむ。準天頂衛星「ヤタガラス」は衛星測位システムを搭載しているようなので、衛星測位システムを使ってトラクターの自動運転なども計画しているのもしれない。おそらく、財前道生が農業に着目して衛星の利用価値を高める方法というのは、そういうことだろうと思う。「下町ロケット-ゴースト」に登場する準天頂衛星「ヤタガラス」の実在のモデルは、準天頂衛星「みちびき」だろう。準天頂衛星「みちびき」は「QZSS」という日本の衛星測位システムを搭載している。「QZSS」は日本版GPSと言ってもよい。GPSが一番有名なので、衛星測位システムは何でもGPSだと思われがちだが、GPSはアメリカの衛星測位システムの名称である。このGPSは民間に解放されており、日本はアメリカのGPSを利用させて貰っているに過ぎない。アメリカのGPSの精度にはレベルがあって、最高レベルはアメリカの軍事目的で使用されており、精度は誤差数センチといわれる。我々が利用しているGPSは、民間に解放されているのレベルで、誤差数メートルの精度だ。アメリカは戦時体制になると、解放しているGPSのレベルを落とすことが出来ると言われており、戦争になると利用できるGPSの精度は誤差数百メートルまで落ちるらしい。日本がアメリカと戦争をすることは無いと思うが、もし、日本がアメリカと戦争をすることになれば、日本はGPSが実質的に使えなくなる。日本の準天頂衛星「みちびき」は、GPSを補完するとともに、測位の精度を誤差数センチのレベルまで引き上げることができ、カーナビなどの他にも、農業などのへの活用が期待されている。スポンサードリンクギアゴーストがケーマシナリーから特許侵害を指摘され、ライセンス料として15億円を請求されると、ギアゴーストの伊丹大は、佃製作所の社長・佃航平に出資を求めた。そこで、佃航平が特許関連では日本でトップクラスの顧問弁護士・神谷修一に相談すると、顧問弁護士・神谷修一はケーマシナリーへの対抗策として、「クロスライセンス」という方法を教えた。クロスライセンスは、特許と特許を交換する契約で、ギアゴーストがケーマシナリーから特許侵害を指摘されているが、ケーマシナリーがギアゴーストの特許を侵害していれば、特許侵害に対して特許侵害で対抗し、ライセンス料を相殺できるという方法である。私は「下町ロケット-ゴースト」を読んで、クロスライセンスという対抗策を知り、「あしたのジョー」の矢吹丈が得意とした必殺技クロスカウンターを思い出した。矢吹丈のクロスカウンターは、相手のパンチに対して、外側からのフックをカウンターとして当てる技である。クロスカウンターは相手の力を利用することで威力が2倍となる一撃必殺の技で、矢吹丈はクロスカウンターによって次々と強敵をマットに沈めるが、クロスカウンターは自らも相手のパンチを食らうという相打ち覚悟の玉砕作戦だった。ケーマシナリーのライセンス料請求に対してクロスライセンスを提案した顧問弁護士・神谷修一は、もはや弁護士界の矢吹丈である。私は、このクロスライセンスによって、ベンチャー企業のギアゴーストが大企業のケーマシナリーを打ち負かす結末を想像し、ワクワクしながら、「下町ロケット-ゴースト」を読んでいた。しかし、ケーマシナリーの製品を分解して精査しても、特許侵害は見つからず、クロスライセンス作戦は不発に終わったため、残念だった。伊丹大は帝国重工の機械事業部に居たとき、機械事業部の赤字を解消するために、重田工業との取引打ち切りを主張した。伊丹大の改革案が新部長・的場俊一の目にとまり、改革案が採用され、重田工業との取引は打ち切られた結果、重田工業は倒産した。伊丹大はさらなる改革案を提出したが、帝国重工の古い体質に受け入れられず、重田工業が倒産したことを批判され、帝国重工の墓場へと左遷された。帝国重工の墓場へ追いやられた伊丹大は、その墓場で天才エンジニア島津裕と出会い、一緒に帝国重工を辞めて「ギアゴースト」を設立した。伊丹大と島津裕は、トランスミッションを作るために墓場から抜け出た幽霊なので「ギアゴースト」という社名にした。ただ、私はそれ以外にも意味があるともう。伊丹大は、保守的な上司・照井和生に嫌われて、帝国重工の墓場へと追いやられたと思っていたが、部長・的場俊一のスケープゴートにされたことを知ると、的場俊一への復讐を決意し、的場俊一への復讐するため、裁判の協力をしてくれた佃製作所を裏切ってダイダロスの重田登志行と手を組んだ。だから、私は、伊丹大が過去の亡霊に囚われたので「ゴースト」というタイトル担ったのでは無いかと思った。スポンサードリンク島津裕について「すこし小太りで、割烹着でも似合いそうな雰囲気に愛婿がある」という描写があった。私の中では、割烹着イコールSTAP細胞の小保方晴子というイメージがあるので、島津裕のモデルは小保方晴子では無いかと思った。シリーズ第3弾の「下町ロケット-ゴースト」を読んだ。面白いことは、面白かったのだが、下町ロケットシリーズの中では結末がいまひとつ物足りなかった。第1作「下町ロケット」はロケットを打ち上げるという夢があったし、第2作「ガウディ計画」は心臓の人工弁を作って子供たちを救うという夢があった。しかし、第3作「ゴースト」のトランスミッション用のバルブの開発には、壮大な目的が無かった。元々、トランスミッションへの参入は、佃製作所がヤマニタからエンジンの取引削減を言い渡され、このまま行けば赤字に陥ることが切っ掛けで、トランスミッション用のバルブが完成したとしても、佃製作所の赤字が回避されるだけに過ぎない。だから、第3作「ゴースト」のトランスミッション用のバルブ開発には感情移入が出来ず、第3作「ゴースト」を読み終えても、不完全燃焼という感じが残った。また、ギアゴーストが佃製作所の顧問弁護士・神谷修一のおかげでケーマシナリーとの特許訴訟に勝ったが、ギアゴーストはダイダロスと業務提携してしまった。ギアゴーストの伊丹大は、ダイダロスの・重田登志行と協力して帝国重工の次期社長・的場俊一を倒すことにしたが、この決着も付いていない。それに、ギアゴーストを辞めた島津裕も、佃製作所に入らなかったので、ギアゴーストとダイダロスの問題は、今度に持ち越されそうな結末で終わっている。今作の「下町ロケット-ゴースト」は最終回が少し消化不良のような感じがしたが、継ぎに繋がりそうな結末だったので、次作に期待した。シリーズ第3作の「下町ロケット・ゴースト」を読み終えて、もう1度、第1作「下町ロケット」から読み直しているのだが、第3作の「下町ロケット・ゴースト」がもの凄い伏線回収だったことが分かったので追記しておく。第1作「下町ロケット」で、帝国重工の財前道生が佃製作所に、年間5億円で水素エンジンバルブの特許を使用したいと申し入れたとき、佃製作所の社長・佃航平は特許の使用ではなく、バルブを製造して帝国重工のロケットに供給したいと言い出した。このとき、帝国重工の富山が、佃製作所の社長・佃航平について、「ロケットとトラクターのエンジンを混同しているんじゃないですか」と言って呆れている。第3作「ゴースト」は、まさにトラクターの話なのだが、帝国重工の富山の発言の伏線回収になっているとは思っていなかった。第3作「ゴースト」は私の予想以上に、奥深い作品なのかもしれないので、もう1度読み直してみようと思う。スポンサードリンク